有機elとは?特徴・仕組み・メリット・デメリットをわかりやすく解説!

有機elとは?特徴・仕組み・メリット・デメリットをわかりやすく解説!

液晶に次ぐ次世代パネルとして注目の有機elですが、「そもそも有機elとは?」「何が優れている?」「メリットデメリットは?」など、有機elのことを聞かれてパッと説明できる人は少ないでしょう。

有機elは、従来の液晶に比べ、薄くて軽くて画質に優れ、省電力。視野角も広いなど、メリットも多いですが、一方でデメリットもあります。

最新機種だから…という理由で有機elTVやディスプレイを購入した後に「え!こんなデメリットがあったなんて知らなかった」と後悔する人も多いです。

そこでこの記事では、有機elの基礎知識や仕組みをわかりやすく解説し、メリットデメリット紹介します。有機el製品を検討している方は、ぜひチェックしてみてください。

有機elとは?スマホでおなじみ有機elをわかりやすく解説

有機elとは?

有機elとは、オルガニック(有機)・エレクトロ・ルミネッセンス(organic electro-luminescence)の略です。

エレクトロは電気、ルミネッセンスは発光という意味になります。
ルミネッセンスは発熱せず光る現象のことで、ホタルやヒカリゴケなども同じ原理です。ルミネッセンスを電気のエネルギーで起こすのがエレクトロ(electro)ルミネッセンス(luminescence)となり、頭文字をとって「EL」と呼ばれるのです。

エレクトロ・ルミネッセンスは、電気を使った有機化合物の発光ということになります。

この有機化合物の発光を利用した製品を日本ではまとめて「有機el」と呼んでいます。

有機ELと呼ぶのは日本だけで、海外では「OLED(Organic Electro Luminescence Diode)」と呼びます。もし製品にOLEDと記載があれば、有機ELのことです。

有機elの特徴

有機elは先述したとおり、有機elは液晶のようにバックライトが必要ないためなんと画面を曲げてもOK。2019年に放送されたTVで折りたためるディスプレイとして紹介。未来感を感じる次世代ディスプレイに多くの人が注目しました。丸めて筒状にしたり、折りたたんだりしても大丈夫です。

さらに、バックライトがない分、黒をより明確に表現できます。コントラストが鮮明で色鮮やかな映像を楽しめます。

有機elと液晶の違い

有機ELが自発光方式に対し、液晶テレビは、バックライト方式と呼ばれます。発光体のバックライトの前に液晶分子を並べ電圧を加えることで分子の向きが変わり、光を遮ったり通したりする性質を利用。消費電力が低く、低電圧というメリットがありますが、光源(バックライト)が必要で、その分本体の厚みが増します。

一方、有機ELは、発光する有機物を使っているのでバックライトが必要なく非常にシンプルな構造です。厚みは液晶の1/10まで薄くできます。

有機elの仕組み

次に有機elの仕組みを解説します。

なぜ光る?発光のメカニズム

有機elってなぜ発光するか不思議ですよね。住友化学では以下のように解説しています。

有機ELに電圧をかけると、2つの電極からそれぞれプラスとマイナスの電荷をもつ「正孔」と電子が注入されます。両者が有機物でできた発光層で再結合すると、その有機物はいったん「励起状態」と呼ばれる高エネルギー状態に活性化され、これが元の安定状態(基底状態)に戻る際に過剰なエネルギーが光として放出されます。この光の放出が、有機ELです。

引用:住友化学

発光素子に電気のパワーを与え続けると、やがて満杯になり光となって放出されると言うことです。

パネルの基本構造

有機elパネルの基本構造は、有機elパネルとカラーフィルターだけ。

画像:パナソニック公式サイト

バックライトがないので放電スペースも必要なくとってもシンプルです。極限まで薄くできます。一方、液晶パネルは、カラーパネルの後ろにバックライトや放電スペースが必要ですから、薄型化に限界があります。

有機elのデメリット

次世代パネルと呼ばれ注目度が高い有機elですが、幾つかのデメリットもありますのでチェックしておきましょう。

高い

有機elは液晶と比べると販売価格が高いところがデメリットです。まだまだ本格的に普及していないため製造コストがかかります。採用機種が増えてきた最近では、有機elの価格もどんどん下がってきてはいるのですが、液晶に比べると高価です。

有機elのテレビやスマホはどれも上位クラスのモデルとなっています。

焼き付きがある

有機elのもっとも大きなデメリットは焼き付きが起こる可能性が高いことです。焼き付きとは、それまで画面に写っていた映像がうっすらと残る現象を言います。

有機elの焼き付きは、発光素子が劣化することで起こります。ゲームなどで長い時間スリープ状態にすると、素子はその間ずっと発光し続けて疲れてしまいます。

その結果、劣化し長い時間表示していたものが残像として残ります。

製品の数が少ない

有機elは、まだまだ普及していませんので採用製品数が液晶に比べ圧倒的に少なくなります。テレビでいえば、小画面の有機elはありませんし、スマホは高いモデルばかりです。

選択肢が少なく、同じ価格を出せば多彩な機能が搭載されている液晶の上位モデルを選べますので、多くの方が有機elと液晶どちらにしようか迷ってしまいます。

有機elのメリット

有機elには、液晶にはない様々なメリットがあります。優れている点を解説します。

薄く軽くできる

有機elは自ら発光するため、液晶のようなバックライトが必要なくその分薄く軽くできるところがメリットです。例えばテレビの薄さで比較すると、液晶テレビが5〜7㎝あるのに対し、有機elは5mm。なんと液晶の1/10の薄さでOKです。

薄い分、軽いため壁掛けに最適。スマホでは、持った感じの重量感がかなり変わります。また、ベゼルをギリギリまで詰められますので画面の広さも大きくなります。

コントラストに優れ画質が綺麗

有機elは、液晶と比べてコントラストのはっきりした映像を映し出すことができます。先ほどもお話ししましたが、バックライトが不要で鮮明な黒を再現します。

液晶の場合は、バックライトを使用している影響で黒が白けて見えますが、有機elは自らが発光するため発光をやめれば完全に真っ黒になるのです。

くっきりとした黒のおかげで、コントラスト比がはっきり出て美しい映像を表現できます。

視野角が広い

有機elディスプレイは視野角が広いため、横や斜めからでも綺麗に見えます。一方で液晶は、視野角が狭く横から見ると光の透過具合が変わり、映像がよく見えないことが多いです。有機elは液晶のように、光の透過具合が変わる部品がありませんので、色味の変化が少なく正面から見た映像とほとんど変わらない状態で楽しめます。

まとめ

この記事では、近年開発が進み注目度の高い有機elの基礎知識と特徴、メリットデメリットなどを解説しました。液晶に次ぐ次世代パネルと言われる有機elには、「湾曲できる・薄い・軽い・映像が綺麗」などメリットも多いです。しかし、一方で「高価・焼き付き問題」等のデメリットもありますので、その辺りもしっかり理解した上で購入を検討しましょう。

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